ビンさんの銀幕音楽堂・第800回(2017年6月24日放送分) 



銀幕20170624














【放送日:2017年6月24日(土)PM9:00オンエア】
【再放送:2017年6月28日(水)PM6:00オンエア】

・シネマサンシャイン大和郡山 Reserve Seat!!

奈良県は大和郡山市にあるシネマコンプレックス、シネマサンシャイン大和郡山さんの情報等々を紹介。

『キング・アーサー』ostより「Run Londinium」(co:ダニエル・ペンバートン)


・銀幕音楽堂メールボックス

放送800回記念クイズ!!

『将軍 SHOGUN』ostより「SHOGUN」(co:モーリス・ジャール)
『将軍の娘 エリザベス・キャンベル』ostより「過去からの解放」~「将軍の退官」(co:カーター・バーウェル)
『小説家を見つけたら』ostより「虹の彼方に~この素晴らしき世界」(vo:イズラエル・カマカヴィヴォオレ)
『勝利への脱出』ostより「VICTORY - End Credits」(co:cビル・コンティ)


以上のラインナップでお送りいたします。


奈良のコミュニティFM、FMハイホー(81.4MHz http://www.fm814.co.jp/)にて、お送りしております1時間の「映画音楽専門番組」です。

放送日:毎週土曜日 PM 9時~10時
再放送日:毎週水曜日 PM 6時~7時 (土曜日放送分の再放送です)

当番組はサイマル・ラジオでも発信しています。
ご自宅のPC、スマートフォンでお聴きいただけます。
上記、サイト内のバナーをクリックしてください。




【裏ばなし的なもの】

まずは、月の最終週ということで、奈良県は大和郡山市にありますシネマコンプレックス、シネマサンシャイン大和郡山さんのコーナー、「シネマサンシャイン大和郡山 Reserve Seat!!」を。

今回はガイ・リッチー監督による、アーサー王伝説を映画化した『キング・アーサー』を取り上げます。
演出もさることながら、そこに流れる音楽も独特でありまして、ダニエル・ペンバートンによるスコアから、古のロンドンの街中を主人公たちが悪に追われるチェイス・シーンに流れた1曲を。
人の「息づかい」をサンプリングしての、なんとも珍妙なスコアに仕上がっております。


続きまして、本来ならばメール、FAXを紹介する「銀幕音楽堂メールボックス」のコーナーですが、今回は特別企画といたしまして、「放送800回記念クイズ!!」をお送りいたします。

2001年12月にオンエアを開始した当番組、おかげさまをもちまして今回の放送で通算800回を迎えることになりました!

思えば、2001年12月から始めた当番組、800回までの間に、そりゃあもう、いろんなことがありました。
数か月にわたって番組がオンエア休止になったこともありました(いえいえ、僕が別に不祥事を起こしたわけじゃありませんよ)。
思いがけず入院してしまって、番組に穴を開けることもありました。
スタッフの手違いで、同じな内容が2週間も続いて流れたこともありました。

他にも、ここでは書けないことも・・・(笑)

しかし、なんだかんだありながらも、800回も続けてこれたのは、これはひとえに僕の努力の賜物であります。

・・・嘘です(笑)

こんな手前味噌な番組でも、律義に聴いてやろうという奇特な方々に支えられ、ここまでやってこれました。
これには本当に、この場をお借りしてですが、厚く御礼申し上げます。


そして、その感謝の意も込めまして、恒例の放送800回記念クイズも展開しています。

銀幕音楽堂の倉庫にあります、日本で公開された海外作品(アジア圏除く)の、800枚目のタイトルは何でしょう? というこのクイズ、思えば2年前の放送700回の際にも、同様のクイズを展開いたしました。

その時の700枚目のタイトルは『史上最大の作戦』でしたが、それから2年、800枚目もまだ「し」から始まる作品です(笑)
とにかく、海外作品のタイトルの頭に「し」が付く作品、というのもけっこうあるもので、僕自身も、

「まだ「し」なのか・・・」

と驚いている次第です。


とにかく、その800枚目のタイトルは次の4作品のうち、どれでしょう?

1.『将軍 SHOGUN』(80)
2.『将軍の娘 エリザベス・キャンベル』(99)
3.『小説家を見つけたら』(00)
4.『勝利への脱出』(81)

この中から一つを選び、番組宛までお寄せください。
正解された方には、「何か」さしあげます(笑)
※応募はFMハイホーのサイトから、リクエストフォームにてお寄せください。
  その際に、住所、氏名の書き忘れの無きように!

あまりに正解者が多いと抽選になりますが、まぁ、そこはお気軽にご参加していただければ、と。
締め切りは7月末日まで。
正解の発表は8月第2週目のオンエアにて行います。


おっと、最後にもういっちょ肝心なことを。
今回の番組収録では、放送第2回目の音声もちょこっと盛り込んで、自分でもすんごくこっぱずかしいことになってしまいましたが、番組のエンディングを収録していたら、機材の不備で音声がかなり聴きづらくなってしまいました。

そこはスタッフの判断にお任せするしかないのですが、ひょっとたら番組のエンディングの部分、他の日のオンエア分と差し替えになっている可能性もありますので、そこは何卒ご理解いただきますよう、よろしくお願いいたします。

ってなわけで、800回を迎える初夏の宵、ご用とお急ぎでない方は、ぜひぜひお聴きあれ!!



ビンさんの銀幕音楽堂・第799回(2017年6月17日放送分) 



銀幕20170617














【放送日:2017年6月17日(土)PM9:00オンエア】
【再放送:2017年6月21日(水)PM6:00オンエア】

・銀幕アラカルト:ジョン・ウィリアムズ特集

『華麗なる週末』ostより「Finale」(co:ジョン・ウィリアムズ)
『フューリー』より「Main Title」(co:ジョン・ウィリアムズ)
『ブラックサンデー』より「The Explosion / End Title」(co:ジョン・ウィリアムズ)
『アイガー・サンクション』より「Training With George」(co:ジョン・ウィリアムズ)
『タワーリング・インフェルノ』より「Main Title」(co:ジョン・ウィリアムズ)
『スター・ウォーズ フォースの覚醒』より「Rey's Theme」(co:ジョン・ウィリアムズ)
『1941』より「The Count Down / Swing, Swing, Swing」(co:ジョン・ウィリアムズ)


・銀幕音楽堂メールボックス

番組宛にいただいた、メール、FAXを紹介

『家族はつらいよ』より「家族はつらいよ」(co:久石譲)
『ボルサリーノ』より「THEME BORSALINO」(co:クロード・ボラン)

以上のラインナップでお送りいたします。


奈良のコミュニティFM、FMハイホー(81.4MHz http://www.fm814.co.jp/)にて、お送りしております1時間の「映画音楽専門番組」です。

放送日:毎週土曜日 PM 9時~10時
再放送日:毎週水曜日 PM 6時~7時 (土曜日放送分の再放送です)

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【裏ばなし的なもの】

次回はいよいよ通算800回のオンエアとなる当番組、その1回前にジョン・ウィリアムズの特集というのは、僕が映画音楽が好きになったきっかけでもある作曲家ということで、記念と感謝の意味を込めて・・・というのは、じつは違います(笑)

いえいえ、好きな作曲家には違いないのですが、なぜ敢えてこの時期にジョン・ウィリアムズの特集をするかと申しますと・・・。

現在、地元奈良県では、県内各地にて音楽フェスティバルが開催されておりまして、その名も「ムジークフェスト奈良2017」ともうします。
あらゆるジャンルの音楽を、ライヴで楽しめる催し物なのですが、その中の一環として、6月23日(金)に、ジョン・ウィリアムズ作品に特化したコンサートが開催されるのです!!

【詳細はコチラ!!】

あらあら、ええやないのぉ~~~!!
地元でフル・オーケストラでジョン・ウィリアムズの主要な作品が聴けるなんて、こんな機会は滅多にないやないの~~~!!

と、喜んだのも束の間、開催日がいくら週末とはいえ、平日ではないですか!!

これだけのコンサート、なんで土曜か日曜に開催してくれないんだ!!
平日なんてとてもじゃないが、行けやしない。
しかも、もし定時の17時半に仕事を終えても、職場から会場まで2時間はかかる。
到底間に合わない。

というような恨み言を、番組では思いっきり(でもないけど)、ぶちまけております。
それならば! ということで、当番組ではいわゆる有名な作品は敢えて外し(そちらはコンサートに行ける方が、現地で十分楽しんできてくだされ)、僕がプロデュースするならば、こういうラインナップで、ということで、妄想コンサートという体での今回の番組内容に相成ったわけでございます。

さらに恨み言を書かせてもらえれば、「~フォースの覚醒」もライブで聴けるというじゃないですか。
ほんとに、それらの情報に切歯扼腕することしきりでありますが、そういう思いも込めて「レイのテーマ」も放り込んだ次第であります。

ま、とにかく、コンサートに行ける方は、こんな貴重な催し物は地元ではそうそうないので、是非楽しんでいただきたいものであります。


そして、メールBOXのコーナーでは、現在担当作品が相次いで公開中の久石譲氏の『家族はつらいよ』にリクエストをいただきました。
あ、それに続く楽曲は・・・まぁ、聴いていただけるとわかるでしょう(笑)
それ以上は、ここでは敢えて書きますまい。


ってなわけで、梅雨だというのに晴れ続きの奈良の宵、ご用とお急ぎでない方は、ぜひぜひお聴きあれ!!



ビンさんの銀幕音楽堂・第798回(2017年6月10日放送分) 



銀幕20170610














【放送日:2017年6月10日(土)PM9:00オンエア】
【再放送:2017年6月14日(水)PM6:00オンエア】

・イオンシネマ西大和 みてみて探訪記!

『花戦さ』ostより「花戦さ」(co:久石譲)

『LOGAN/ローガン』より「Main Titles」(co:マルコ・ベルトラミ)

その他、イオンシネマ西大和で公開される作品の情報、イベントの告知などなど。


・銀幕音楽堂メールボックス

番組宛にいただいた、メール、FAXを紹介


以上のラインナップでお送りいたします。


奈良のコミュニティFM、FMハイホー(81.4MHz http://www.fm814.co.jp/)にて、お送りしております1時間の「映画音楽専門番組」です。

放送日:毎週土曜日 PM 9時~10時
再放送日:毎週水曜日 PM 6時~7時 (土曜日放送分の再放送です)

当番組はサイマル・ラジオでも発信しています。
ご自宅のPC、スマートフォンでお聴きいただけます。
上記、サイト内のバナーをクリックしてください。




【裏ばなし的なもの】

今回は第2週目、「イオンシネマ西大和 みてみて探訪記!」の週です。

まずは、『花戦さ』。
スコアを担当した久石譲氏は、同じく公開中の『家族はつらいよ2』のスコア、そして『たたら侍』の主題歌の作曲と、相変わらずの活躍ぶり。
この『花戦さ』のスコアは、時代劇という「和」のテイストに、モダンな「洋」の融合という、面白いスコアになっています。

続いて『LOGAN/ローガン』。
単なる『X-メン』シリーズのスピンオフに終わっていない、骨太なドラマに仕上がっており、それを彩るベルトラミのスコアも、おおよそヒーローものとは思えない、ムーディな仕上がり。
たとえて言うならば、ハーマンの『タクシードライバー』のような。


ってなことで、今回はこの2作のスコアのみ。
後はひたすら、番組宛にいただきましたメール、FAXを紹介いたします、「メールBOX」のコーナーであります。
とにかく今回は、たくさんのお便りを番組宛にいただきまして、本当に感謝!感謝!

その分、次回はなるべく音楽をたくさん聴いていただく予定でございますので、よろしゅうに!

関西も梅雨に入って、ジメジメした日々がしばらく続く6月の宵、ご用とお急ぎでない方は、ぜひぜひお聴きあれ!!



■『ツイン・ピークス:序章』■(ブルーレイ) 







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アメリカ本国で『ツイン・ピークス』の新シリーズが25年ぶりにオンエアされた。
それに伴い、カンヌ映画祭ではその中の2エピソードが特別上映されたりとか、なにかと話題に事欠かない。

リンチストとでもあり、かつての呼び名ではピーカーだった(今もそうだが)僕としては、一刻も早くその新シリーズを観たいのはやまやまなれど・・・。
日本では25年前と同じく某衛星放送会社が放映権を持っていて、加盟していれば2か月後の7月には観ることができるようだ。
しかし、いまだに部屋のTVが「地上波」の僕としては(いえいえ、茶の間のTVはちゃんと地デジでございますよ)、いずれソフト化されるまでは、はやる気持ちを抑えつつ気長に待つしかない状態である。

そのはやる気持ちを抑えるには、今こそ旧シリーズを観直すのが一番!!

ってなことで、2年前に旧シリーズ全話+劇場版をすべて網羅したブルーレイBOXセットを購入したはいいが、なかなか観る機会が無くて、すっかり部屋のディスプレイの一つに鎮座していたわけで。

今こそこれを紐解き、25年前に抱いていたドキドキ・ワクワク感を蘇らせつつ、観直していこうと思った次第。

な~~~に、毎日1エピソードなんて到底こなせないし、全話観終わる頃には新シリーズも観ることが可能になっているんじゃないか、という淡い期待を抱きつつ・・・。

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25年前、すでに『エレファント・マン』(80)、『デューン砂の惑星』(84)の洗礼を受けて、デイヴィッド・リンチという稀有な監督に魅せられていた僕は『ブルー・ベルベット』(86)で決定的にノックアウトされていた。

シネマライズ渋谷で上映されていた際には、初日に観に行って衝撃を受け、その後2~3度通ったものだった。
その後、SHVからビデオ・ソフトがリリースされるや(当時は15000円くらいしたね)、即購入しては毎晩部屋のBGM代わりに流していたような次第。

まさにリンチ中毒になっていたわけだが、そんな頃にリンチが新作を作った、という具体的な話題を知ったのは、日テレ系の深夜番組「11PM」だったか。

今は亡き、今野雄二氏の解説で映像を伴って紹介されたのが、その新作である『ツイン・ピークス』だった。

ただ、映画ではなくTVドラマシリーズというのが、ちょっとネックに思えた。
それまでのリンチ作品にあったような「毒」が、TVドラマということで薄れてやしないか?
そして、映画ならば公開されれば映画館で観ることができるが、TVドラマとなると果たして日本でまともに観ることができるのだろうか? という懸念があった。

実際に作品を観ることができたのはWHVからリリースされた「序章」のビデオソフトだった。
もちろん、リリース当日に秋葉原の石丸電気でソフトを購入し、初めて『TP』に触れたその時の衝撃たるや・・・。

その後、シリーズ自体、本国はもちろん、日本でも大ブームを巻き起こしたことは、いまも覚えてらっしゃる方も多いと思う。
なにしろ、ジョージアの缶コーヒーのCMにまで、カイル・マクラクランが登場したり、劇場版である『ローラ・パーマー最後の七日間』が封切られることには、新宿アルタ前でローラ・パーマーの公開葬儀まで開催されるほどだった(もちろん、参列したよ)。

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ローラ・パーマー(シェリル・リー)の遺体が発見されたのは、アメリカとカナダの国境に近い町、ツイン・ピークスでのことだった。

町の高校一の美女であり、ボランティア活動にも参加し、誰からも愛されていたローラだったが、遺体は暴行を受け全裸のままビニールシートで包まれるという、異様なものだった。
遺体を発見したのは町の巨大な製材会社、パッカード製材所の従業員ピート(ジャック・ナンス)。

ピートを演じるジャック・ナンスは、リンチの長編第1作『イレイザーヘッド』(77)で主役を務めて以降、『エレファント・マン』を除くリンチ作品の常連で、不慮の事故で亡くなるまでまさにリンチ作品の顔でもあった。


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時を同じくして、パッカード製材所の従業員の娘で女子高生ロネットも行方不明になっていたが、彼女は監禁されていた場所から自力で逃げ出したところを保護される。

町の保安官トルーマン(マイケル・オントキーン)による捜査が始まり、ローラとロネットが暴行を受けたであろう場所も発見されるが、犯人につながる有力な決め手が見つからない。

トルーマンの部下のアンディ(ハリー・ゴアズ)が、遺体を見ると泣きだしてしまう性格だったり、保安官事務所の受付係で、超天然なルーシー(キミ-・ロバートソン)はアンディと付き合っていたりと、このあたりのキャラクターの書き込みも本筋とは関係ないが、かなり深く描かれているのが面白い。

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ローラ達が暴行を受けたとされる廃車両のなかには、奇妙な盛り土がしてあり、その上に、

「Fire walk with me (火よ、我とともに歩め!)」 

と書かれた紙片が置かれているのが発見される。

しかし、それがいったい何を意味するのか、その時点では誰にもわからない。

この言葉は後々いろんなところで登場し、さらには劇場版のタイトルがこれを引用したものであることは周知のとおり。

ちなみに、ブルーレイBOXセットには、おまけとして、この紙片がついているのがご愛敬(笑)
新シリーズが始まったのを機に、ブルーレイBOXセットが、劇場版を外した内容で廉価版にて再発されるようだが、この紙片のおまけはついてないんだろうなぁ・・・。

リンチの演出は、この「序章」から大全開!!

特に、ローラの死を告げられた彼女の母セーラ(グレイス・ザブリスキー)が、悲しみで嗚咽する様をねちっこく延々と映し出すという、観ている者の心をえぐるような演出は、リンチの真骨頂だ。

さらに、ローラの父、リーランド(レイ・ワイズ)が、彼が務める観光ホテル「グレート・ノーザン」へローラの訃報を伝えにやってくるトルーマンの姿におののく姿であったり、ローラの通う高校で、校長から校内放送を通じてローラの死を伝えられる際の、ドナ(ララ・フリン・ボイル)、ジェームズ(ジェームズ・マーシャル)、オードリー(シェリリン・フェン)たち同級生たちの動揺など、リンチの演出はますます冴えわたる。

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そうこうしているうちに、やっと登場するのがFBI捜査官のクーパー(カイル・マクラクラン)。

『~砂の惑星』、『ブルーベルベット』に続き、ジャック・ナンス同様、すでにリンチ作品の「顔」でもあったマクラクランの出現で、物語はさらに面白さを帯びてくる。

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クーパー捜査官はモルグに安置されたローラの遺体の親指の爪の下から、小さな紙片を見つける。
どうやら、ローラの死は、1年前に他の町で起こった、テレサ・パンクス殺害事件と関連があるようだ。

この遺体の爪の間にピンセットを突っ込むなんて描写は、まぁ観ているだけで痛いシーン、いわゆる生理的嫌悪感100%な場面なんだけど、こういうところもリンチらしいといえばリンチらしい。

ちなみに、『TP』のビデオが日本でリリースされた当時、リンチの劇場作品の新作であった『ワイルド・アット・ハート』(90)のプロモーションも兼ねた、リンチ自身による絵画の個展が、当時表参道にあった東高現代美術館で開催された。

リンチ自身来日してのトーク・ショーも行われたのだが(もちろん、駆けつけましたよ)、その際のティーチ・インで

「何をしている時に快感を感じますか?」

みたいな質問が会場から上がり、それに対して、

「親指の爪を横からギュッと押す時」

とリンチは答えたものだった。
(あと、ワイシャツのボタンを一番上まできちっと留めた時、なんて回答もしてたっけ)

ほんとに、リンチらしい回答だが、爪云々に関することは、おそらく『TP』を意識してのことだったんだろうな。
あるいは、本当に常々そんなことを思っていて、それをドラマに用いたというとだったのかも・・・。



さて、クーパーはトルーマンと共に、ローラ殺害の容疑者として補導されていた、ボビー(ダナ・アシュブルック)の事情聴取を行う。
素行が悪いうえに、ローラと付き合っていたというから最も怪しい人物なんだが、クーパーはあっさり彼をシロだとして釈放するのだった。

しかも、捜査の中で、ローラの裏の顔が徐々に見えてくる。
彼女の貸金庫から出てきたのは売春情報が掲載されているアダルト誌、大量のお金、そしてコカインが入っている袋・・・。
いったいローラという少女の本当の顔とは・・・?

その後、ローラの遺体が見つかる前夜、彼女と最後に会っていたのはジェームスだということがわかってくる。

二人がひそかに付き合っていることを知っていたドナは、ジェームズからローラが亡くなる前夜の彼女の異様な様子を聞かされる。
そして、ハート形のネックレス(半分に割れるようになっており、半分はジェームズが、半分はローラが持っている)を、ドナと共に埋めるのだった。

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「序章」はこの後、娘を亡くし憔悴したセーラが、何かにおののく姿と、ジェームズたちが埋めたハートのネックレスを、誰かが掘り出す場面が映し出されて終わる。

とにかく、このセーラを演じるグレイス・ザブリスキーの「顔芸」が、この「序章」における真骨頂かと。
「顔芸」なんて書いたけど、とにかくこの方の驚愕の表情はインパクト大。

もちろん、リンチの演出ゆえのことだろうし、続く『ワイルド・アット・ハート』でも素晴らしい「顔芸」(笑)を披露している。
『インランド・エンパイア』では、この方が登場しただけで場内から笑いが起こったものだ(それって失礼やろ)。

本作のことを考えれば、愛する娘を亡くした母ということで、その悲しみに対するリンチなりの表現であり演出なわけだが、それを受けて立ったグレイス・ザブリスキーの素晴らしさをあらためて実感。
25年ぶりの新シリーズでも、同じくセーラ役で登場ということなので、こういうところも期待度が高まってくるというものだ。

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さて、監督したリンチとプロデュースしたマーク・フロストが本作を製作するにあたって、製作費を捻出するためにワーナーホームビデオとの間に、アメリカ本国以外ではビデオを売らんがために、TVシリーズのパイロット版ではなく、1本の独立した作品として仕上げるよう契約が交わされていた。

従って、アメリカ本国では上記の「ネックレスを誰かが拾う」シーンで、「第1話に続く」という形になるのだが、当時日本でリリースされたビデオ・ソフトには、その後30分の「完結編」にあたるエピソードが盛り込まれている。

これが当時としては、アメリカ本国では観ることのできなかった「幻の30分」だった。
その後、DVD化された際にその映像も収録され、本国のファンもようやく観ることが可能になった。
ということは、逆に日本では観れなかった本来の姿の「序章」のラストを観ることができたのもまた、DVD化されたからだった。

当時、「序章」はワーナーホームビデオから、それに続く「第1話」以降は、アミューズからビデオリリースということで、まったく発売元が違っていたので、本来の形の「序章」は観ることができなかったのである。

まぁ、もっとも某衛星放送に加入していた方は観ることは可能だったのかもしれないけれど。

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その、「幻の30分」だが、セーラはローラの遺体が発見された日の朝、ローラが彼女の部屋から起きてこないので、部屋を覗き込むが、そこに娘の姿はなかったことを回想するのだが、と同時にローラの部屋に不審な人物がいたことを思い出す。

それが後々、エピソードに登場してくるボブ(フランク・シルヴァ)という謎の男。
「幻の30分」、それまで劇中にまったく登場しなかったこのボブという男の独壇場になってくる。

ボブを演じるフランク・シルヴァという人物は、確か俳優ではなくドラマの大道具スタッフだったはず。
面白いのは、セーラがおののく場面の写真の右上、注目してもらえばわかるように、鏡にこのフランク・シルヴァの姿が映り込んでしまっている。

これは、確かなことはわからないが、演出ではなく、たまたま映り込んでしまったもののようで。
これを機にリンチは物語に彼を無理矢理導入したようだ。

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彼を導入するってんで、わざわざボブがローラのベッド脇からこちらを覗いているショットまで撮り直している。

このシーンは、グレイス・サブリスキーの顔芸とあいまって、むちゃくちゃおっそろしい場面になっておりインパクト大!!


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時同じくして、保安官事務所にマイク(アル・ストロベル)と名乗る男から通報が。
ローラを殺害した犯人、ボブがモルグの地下にいるというのだ。

クーパーとトルーマンはモルグに直行する。
そこには、それまで劇中1シーンのみ登場した片腕の男マイクがいた。
彼は長年ボブを追っており、ようやくその場を突き止めた、みたいなことをクーパーたちに語る。

そして、ローラ達が暴行された現場に残っていた紙片に書いてあった言葉、

「Fire walk with me (火よ、我とともに歩め!)」 

をいきなり喋ったりするわけで。

まぁ、なにしろ事件の犯人はボブだ、っちゅうことで押し通さなくちゃいけないんで、この際、辻褄が合ってないなんて関係ない・・・(笑)

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はたして、モルグの地下では、ボブが地べたにローソクを並べて、なんだかよくわかんない儀式みたいなのをしている。

マイクはボブを撃ち殺そうとするが、突然発作で倒れてしまう。
結局、クーパーとトルーマンに射殺されるボブ。

事件は一件落着・・・のはずだったが・・・。







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いきなり物語は25年後へ。

ここからがいわゆる『TP』の真骨頂なわけだが、謎の赤い部屋に年老いたクーパー。
その隣には、謎の小っちゃいおっちゃん(マイケル・アンダーソン)。
さらにその隣には、死んだはずのローラが。






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小っちゃいおっちゃんはクーパーに、

「あんたの好きなガムが、また流行る」

と、中島みゆきの「りばいばる」の一節みたいなセリフをのたまう。

この25年後というのが、今年なわけで最初から新シリーズを2017年に作るなんてことは、この当時は思っちゃいなかったんだろ
うな。

でも、それを考えると、なんで25年なんだろう?
その25年という数字は、どこから来たものなんだろう?

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おもむろに流れてくるアンジェロ・バダラメンティによるアンニュイなスコアに乗って、小っちゃいおっちゃんがクネクネ踊りだす。

この小っちゃいおっちゃんを演じるマイケル・J・アンダーソンという方の経歴はよくわかんないんだけど、リンチが90年当時に演出した舞台でも、ダンスを披露していたり、『マルホランド・ドライブ』(01)にも出演していた。

『TP』では、赤い部屋での人物は、みんなセリフを逆再生で収録されていて、このあたりの演出もリンチの真骨頂かと思うが、この「幻の30分」の最後は、あまりにシュール過ぎて初見の際には大変困惑したものだった。

実際この赤い部屋の場面は、のちのエピソード用に撮影されたものを無理矢理くっつけたので、余計に混乱を招くが、逆にそれが『TP』全体を表現する不条理さを加速させるに十分なものであり、それゆえ『TP』という作品の本質が、ここにあるといっても過言ではない。

もっとも、なにを言いたいのかよくわかんないエピソード(笑)だが、まさにリンチの力業というべきだろう。

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そして、ローラはクーパーに耳元で何かをささやくところで、この「幻の30分」は終わる。

彼女はいったいクーパーに何を語ったんだろう?

「こんなもっともらしい顔して演技してるけど、私にもいったい何をやってんのか、さっぱりわかんないのよ」

とでも言ってるんだろうか?(笑)


この「幻の30分」が収録された、いわゆるインターナショナル版の「序章」のビデオも、当時は『ブルーベルベット』のビデオと同様ことあるごとに観ていたものだが、25年経って観直してみても一切色あせていないのが見事だ。

そして、『TP』の主要人物のほとんどが、この「序章」に登場しており、それぞれの関係もさりげなく描かれていて、この「序章」だけである程度の相関図が書けるくらいに人間関係は入り組んでいるが、キャラクターが際立っているので混乱することはない。

ローラという一人の少女の死をきっかけに、想像もつかない物語が展開していき、驚愕のラストを迎えることになるのだが、25年前に「序章」のビデオを観て、狐につままれた思いだった当時の僕には、そんなことは知る由もなかったのだった。

《以下、第1章につづく》



ビンさんの銀幕音楽堂・第797回(2017年6月7日放送分) 



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【放送日:2017年6月3日(土)PM9:00オンエア】
【再放送:2017年6月7日(水)PM6:00オンエア】

・ニューシネマ・サウンド

『光をくれた人』ostより「The Light Between Oceans」(co:アレクサンドル・デスプラ)


・銀幕音楽堂メールボックス

番組宛にいただいた、メール、FAXを紹介

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』より「コックアイズ・ソング」(co:エンニオ・モリコーネ)


以上のラインナップでお送りいたします。


奈良のコミュニティFM、FMハイホー(81.4MHz http://www.fm814.co.jp/)にて、お送りしております1時間の「映画音楽専門番組」です。

放送日:毎週土曜日 PM 9時~10時
再放送日:毎週水曜日 PM 6時~7時 (土曜日放送分の再放送です)

当番組はサイマル・ラジオでも発信しています。
ご自宅のPC、スマートフォンでお聴きいただけます。
上記、サイト内のバナーをクリックしてください。




【裏ばなし的なもの】

ニューシネマ・サウンドのコーナーでは、まず、カンヌ映画祭でも話題となった、地元奈良県出身の河瀬直美監督最新作、『光』を取り上げています。

あ~だ、こ~だ、好きなこと喋ってますけど、肝心の音楽なんですが、これが残念ながらサントラがリリースされていないのです。
レバノン出身のミュージシャン、イブラヒム・マーロフによるスコアは、劇中、かなり饒舌に流れてきて強い印象を残します。
ただ、これを書いている現在でも、まだサントラはリリースされておりません。

カンヌ映画祭でのマスコミとの質疑応答で、監督の言によれば、クライマックスで流れるスコアは、なんと即興演奏なんだとか。
映画自体は、パルムドール獲得とまではいきませんでしたが、現地でも好評だったことは周知のとおり。
なので、近々サントラもリリースされるのでは? とは思っているのですが、このまま出ない、というのであれば本当に残念至極です。

そのあたりのこともひっくるめて、番組で喋っておりますが、ちなみにBGMとして使っているのは同じくマーロフの作曲による、日本未公開のフランス映画のサントラから。


続いて取り上げているのが、同じく先週から公開されているマイケル・ファズベンダー、アリシア・ディキャンダー、レイチェル・ワイズが共演による『光をくれた人』。
ともに「光」をタイトルに掲げて同日封切りというのも、まったくの偶然でしょうけれど、面白いものです。

こちらは、アレクサンドル・デスプラのスコアがとにかく絶品!!
3大俳優の見事な演技と相まって、見応え、聴き応えのある作品に仕上がっています。


メールBOXのコーナーでは、リスナーさんよりクエストの『ワンス・アポン・ア・~』から、ザンフィルのパンフルートが美しい「コックアイズ・ソング」を。
リスナーさんによれば、最近観たとある映画のスコアが、この「コックアイズ・ソング」そっくりだったそうな。

ま、モリコーネに影響を受けた方というのは、けっこう多いみたいですのでね。
番組ではそのあたりのお話などを。


ってなことで、あっという間に6月になった初夏の宵、ご用とお急ぎでない方は、ぜひぜひお聴きあれ!!